こういうの、不謹慎なのかどうかよく分からないんですが、私が祖父とのお別れの時に体験した事です。
忘れないうちに、書き留めて置こうと思います。
土曜日昼
2019年 夏重い認知症とガン(検査すら出来なかったけど)で、土曜日のお昼に祖母が亡くなりました。
翌日、日曜日は通夜です。
しかし、1ヶ月前に体調不良を訴えて入院、検査、手術までした祖父も、全身ガンでもはや意識が無く、いつどうなってもおかしくない状況にありました。
土曜日深夜
祖母を亡くした悲しみに暮れながらもやる事はたくさんありました。
両親と駆けつけた親戚(祖母の兄弟)が日曜日の通夜の準備をする中、私と兄は祖父の元へ。
病院からは、夜を含めて、必ず誰か付くようにと言われていました。
金曜日の夜も祖父に付いていたので、これで2晩目です。
金曜日の晩は私と母が付いていましたが、日曜日に祖母の通夜を控えた母を付かせるわけにもいかず、父と兄は日中運転する機会が多いので、寝不足にさせる訳にもいきません。
という事で、土曜日の夜は私一人で祖父に付き添うことになりました。
夜の病院って、ホラー番組みたいに静まり返って不気味……なんてことは無かったです。
認知症の患者が徘徊してるのに驚いたくらいですね!寝ろよ!
祖父の元には、1時間に1回、看護師さんが様子を見に来てくれました。
痰が絡んで苦しそうにしている祖父の痰を取ってもらったり、痛み止めを追加してもらったり……。
痛み止めは投入されてますが、それでも痛いのか、苦しいのか……
ずーっとうなされて、時々うめき声を上げて体を痙攣させる祖父が、可哀想で仕方ありませんでした。
具体的にどうして欲しい、と願ったわけではありませんが、思い出したのは昼間亡くなった祖母でした。
「じぃじが苦しそうだよ……ばぁば何とかしてあげて……」
幼い頃から慣れ親しんだ呼び方で、めそめそしながら祖母を呼んでみました。
心配性の祖母ですから、きっと近くに居てくれていると、そんな気がしたのです。
返事は、ありませんでした。
目を離すと聞こえる声
一晩中寝ずにいることも出来ないので、少し仮眠しようと家族用の簡易ベッドに横になりました。
とは言っても、祖父のうなされる声で結局起きてしまって、3時頃までは仮眠したり祖父に声掛けたりを繰り返してました。
そのあとはさすがに眠くて、寝ることにしました。
祖父も少し落ち着いた様でした。
看護師さんが作業出来るスペースを確保して、祖父のベッドの隣で目を閉じました。
「……、…………。」
ふと、誰かの声が聞こえます。
「……。……、……?」
なんだろうと思って、声が聞こえる祖父のベッドの方を見ても、誰もいません。
そのまま耳をすましていても、何も聞こえません。
(気のせいか。)
そう思ってまた目を瞑ると……。
「……。……、…………。」
誰かが祖父の傍で何か話しをしている……
…………。
……………………。
ははーーん
なるほどねーーー
そういうアレねーーー
察しました。
これはあれです、つまり。
祖母が来たのでしょう
多分、きっと、おそらく!
霊感ないから見えないけど、状況的にそれしか無いじゃないですか!!
祖父の声ではない訳ですし!
その時私は、
「来てるの、ばぁばならいいか」
と思いそのまま眠りにつきました。
日曜日の朝
両親と兄が病院へ来たのは、朝の6時。ちょっと仮眠、のつもりが、普通に寝てしまっていた私……凹
祖父は目を開いて、眼球は上を向いていました。
「あれ?」と不思議に思ったものの、3時間睡眠で頭が回らず、祖父に声をかけてから両親と共に病院を出ました。
3人で朝食をとり、その後両親は祖父の着替えを取りに実家へ、私は自宅で少し休んでいました。
母からの電話
顔を洗ってちょっと休もうとした時、母から電話が来ました。
母は、泣いていました。
「じーちゃんが危ないって。お母さんは先に病院行く。お父さんが迎えに行ったから、はちみつもすぐ病院に戻って」
一気に目が覚めました。
私は、選択を間違えたのでは?
祖父の元に残るべきだった。
今朝の顔を見て「あれ?」と思った理由がやっと分かった。
もっと、ちゃんと、よく見て考えるべきだったのに。
ぐるぐると後悔の念が渦巻き始める中、数分後、再び母から電話が来ました。
「じーちゃん、もう亡くなってる」
祖父からの電話
私を迎えに来た父に、祖父が亡くなった事を伝え、2人で病室に駆け込みました。
まだ体は温かかったけど、生命の温もりは感じませんでした。
あぁ、逝ってしまった。
この時私は、昨晩「眠いから」なんて理由で祖父の手を離してしまった事をひどく後悔しました。
一番近くに居たのに。
苦しがっていたのに。
うなされながらも、繋いだ私の手を強く握った祖父の手は、もう何度私が力を込めても、握り返してはくれませんでした。
どうして私が居ない時に逝ってしまったのだろう……。母も間に合わなかったようです。
唯一、祖父を看取った兄も、母達が来るまで待ってと呼びかけたそうですが、ちょっと離れた隙に、すっと逝ってしまいました。
手を離してしまった事を泣きながら謝る私。
その時、母が叫びました。
「じーちゃんから電話きた!!!!」
驚いて顔を上げると、
母のスマホ画面には、
【着信:〇〇(祖父の名前)】
と、ハッキリ表示されていました。
祖父のケータイは私達の自宅に置いてあり、家族全員が病室にいる現在、祖父のケータイを操作することは不可能です。
では、どうしてこの表示が?
誰が電話をかけている?
鳴り続けるバイブ音に、兄が通話ボタンを押すと、電話は繋がらないまま切れました。
すぐさま掛け直しましたが、やはり繋がりません。
「……」
元から霊感が強かったらしい祖父が、最期に、私達に声をかけてくれたのでしょうか。
それ以来、祖父から電話は来ていません。
祖父と母の電話の不思議
母は基本的に、スマホをマナーモードにはしない人です。もちろん、マナーモードにしなければならない場所では設定します。
祖父の病室は、携帯禁止の部屋ではなかったため、通常の音のなる状態でスマホを持っていました。
鳴らない着信音
しかし、祖父の電話が来た時、母のスマホはバイブが鳴っているだけでした。
つまり、マナーモード状態です。
母はまず、これに驚いたそうです。
自分はマナーモードにしてないのに、着信音が無かった、と。
勝手にマナーモード状態になっていた、と。
そして次にかかってきたお寺からの電話に対しては、着信音は鳴りました。
もちろん、設定はいじっていません。
祖父からの着信の時だけ、音が鳴らなかったのです。
祖父のケータイの発信着信
自宅に戻った私達は、引き出しにしまってあった祖父のケータイを確認しました。
母のスマホへの発信履歴も、兄がかけ直した祖父のケータイへの着信履歴も、何一つ残っていませんでした。
祖父は、入院する直前まで元気に歩いたり畑仕事をしていました。
病名も告げていなかったので、本人は治して退院するつもりだったでしょう。
痛み止めを使い始めて意識が混濁し、言いたいことも言えないままでした。
もしかして、何か心残りがあったのでしょうか?
それを伝えようとして、電話を鳴らしたのでしょうか?
確かめる術はありません。
今はただ、
もう病に苦しむことなく、
長年離れていた祖母と2人で、美味しいものを食べたり、好きな景色を見に行ったりして、
2回目の新婚旅行を楽しんで欲しいと願っています。
たった半日の差で、祖父母はそれぞれ旅立ち、葬式は二人揃って行うことが出来ました。
お寺のお坊さんも、親戚の人達も驚いていました。
今ごろどの辺を歩いているのかな?
できれば、天国へ行く前に、私達の所に来て欲しいなぁ、なんて思っています。
(何回か来てくれている気もするんだけど、寝ぼけてたり夢だったりで、イマイチ記憶に残らなかったりするから、もっとこう、ガッツリ会いに来て欲しいのです!!)
ありがとう。
おやすみなさい。
良い旅を。
追記:四十九日の話
亡くなった人は、四十九日の間に家族友人親族に挨拶に行くそうですね。祖父母も挨拶回りをしていたらしく、次々と母の元に舞い込む、祖父母出現の話題。
ここまで来ると、「早く自分の所にも来ないかなー」というワクワク半分、「来なかったら悲しい……」という不安半分です。
一度、夜中に祖母に呼ばれた気がしましたが、寝てるか起きてるか自分でも分からん時に来たので、返事していいのかも判断できず再び睡眠……。
この孫、基本的に睡魔には勝てないのである。
四十九日最終日
私の所に祖父母が現れたのは、最終日でした。
好きな物は最後に食べるタイプだったのね!(ポジティブ)
私と母、2人で出かけている夢を見ている時に現れた祖父母。
気に入ってよく着ていたコートを着た祖母はニコニコしていました。
認知症でずっと弱った姿しか見てなかったのもあって、その笑顔がとても懐かしくて嬉しかったです。
隣にいた母には見えなかったらしく、「お母さん、ばぁば居る!!」と教えても、「え、どこ?」とキョトンとしてて……。
夢の中くらい、見えてよぅ( ´・ω・`)
そうこうしているうちに、祖父も現れました。
いつも被って帽子を被って、やっぱりニコニコしてました。
私は慌てて祖父に駆け寄り、話しかけました。
どうしても聞きたいことがあったのです。
「じぃじ、もう痛くない?」
祖父は、笑って答えました。
「痛くなかったよ」
おわりに
夢は脳が見せているもので……という科学の話は知っています。
あれは私の願望が見せた幻だったのかもしれません。
でも私は、きっと2人は私に会いに来てくれたんだと信じています。
「もう痛くない?」
と聞いた時に握った祖父の手は暖かくて、握り返してくれた優しさが忘れられません。
2人の遺影はリビングに飾ってあります。
元気に笑う祖父母に見守られながら、私は今日も、眠い目をこすりながら出勤するのです。
▼従兄弟から、叔母の不思議な話も聞きました▼
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